運送会社では、荷主の需要に対応したり、ドライバーを分散させて業務の効率化や労働時間の削減を図ることを目的として、本社のほかに営業所を設立することがあります。
しかし、事業所としての独立性を持たない小規模な営業所において、労働保険や社会保険関係の手続きを個別に行うことは合理的ではありません。
そこで、営業所を設立したら次の手続きを行います。
労働保険 保険関係成立届
まずは労働保険の保険関係が成立したことを届け出ます。
この届出は本社ではなく、新たに設立した営業所を管轄する労働基準監督署へ行います。
届出書の備考欄に継続事業一括認可申請を予定していることを記入し、仮の労働保険番号を付与してもらいます。
保険関係成立届の提出期限は保険関係が成立した日の翌日から10日以内です。
労働保険 継続事業一括認可申請書
続いて、労働保険の継続事業一括認可申請を行います。
これは本社など事務を包括する事業場で各営業所の保険料を一括して申告・納付するための手続きです。
保険関係成立届と異なり、継続事業一括認可申請書は本社を管轄する労働基準監督署に提出します。
労働保険番号の欄には保険関係成立届を提出したときに発行してもらった仮の労働保険番号を記入します。
雇用保険 事業所非該当承認申請
雇用保険関係の手続きを本社で一括して行うには、管轄のハローワークに対し「事業所非該当承認申請」を行います。
この届出をすることで、入退社等の手続きを本社でまとめて行うことができ、ドライバーが営業所間を転勤したときにも「雇用保険 被保険者転勤届」等の提出は不要になります。
この申請書には、所定の様式による「調査書」を添付する必要があります。
調査書には、その営業所の人事権の有無や経営・経理の状況を記入します。
事業所非該当承認申請が認められるための要件は次の3つです。
- 人事、経理、経営(又は業務)上の指揮監督、賃金の計算、支払等に独立性がないこと。
- 健康保険、労災保険等他の社会保険についても主たる事業所で一括処理されていること。
- 労働者名簿、賃金台帳等が主たる事業所に備え付けられていること。
最後に
今回ご説明した手続きは営業所設立後すみやかに行うことが求められています。
社労士はこれらの手続きを事業者に代わって行うことができますので、お気軽にご相談ください。