職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成する目的で制定された法律に「労働安全衛生法」があります。
安全衛生法の規制の内容について、さらに詳細に定めているのが「労働安全衛生規則」です。
労働安全衛生規則においては、トラックやフォークリフトなどの車両系荷役運搬機械を使用した作業に関して、以下の事項が定められています。
特に、倉庫作業やフォークリフトを利用した作業がある場合には、対処すべき項目が多くなります。
労働者の安全を守るために必要な措置であるだけでなく、労働基準監督署の調査において指摘がされる可能性もありますので、十分に注意しましょう。
フォークリフト作業計画(安衛則第151条の3)
フォークリフトを使用する際には、作業方法を示した作業計画を策定し、それを関係する労働者に周知徹底させ、計画に基づいて作業を実施しなければなりません。
フォークリフト作業計画書について詳細は、こちらの記事をご覧ください。
転落等の防止(安衛則第151条の6)
トラック等を使用して作業を行う際、転倒や転落を防止するために、運行経路に必要な幅員を確保し、地盤の不同沈下を防止するなど、必要な措置を講じる必要があります。
路肩や傾斜地で作業を行う場合、車両の転倒や転落による労働者の危険を避けるため、誘導者を配置し、その誘導に従って作業を行わなければなりません。
接触の防止(安衛則第151条の7)
事業者は、トラックやフォークリフト等を使用して作業を行う際、作業中に労働者が接触しないように、近くに労働者を立ち入らせないようにしなければなりません。
ただし、誘導者を配置して誘導を行わせる場合は除かれています。
また、ドライバーは誘導者の指示に従うことが求められます。
誘導者の指示に従わないドライバーがいる場合には、指示に従うことが法律で定められていることを説明しましょう。
荷積み作業時の注意点
トラック等に荷物を積む際は、以下の事項を守らなければなりません。
- 荷重が偏らないように積載すること。
- 荷崩れや荷の落下による労働者の危険を防ぐため、荷物にロープやシートをかけるなどの措置を講じること。
運転位置から離れる場合の措置(安衛則第151条の11)
フォークリフトやトラックのドライバーが運転席を離れる場合、以下の措置を講じる必要があります。
- フォークやショベルなどの荷役装置を最低位置に下ろすこと。
- 車両のエンジンを停止し、ブレーキを確実にかけるなど、車両の逸走を防止するための措置を講じること。
主たる用途以外の使用の制限(安衛則第151条の14)
事業者は、フォークリフトなどの機械を本来の用途以外には使用してはなりません。
たとえば、フォークリフトの爪で持ち上げたパレットや台の上に人を乗せて作業をさせることは禁じられています。
また、フォークリフトの使用時には、許容荷重を超えて使用してはならないことも定められています。
昇降設備(安衛則第151条の67、安衛則第151条の74)
最大荷重2トン以上のトラックの荷積みや荷卸し作業を行う際、床面と荷台の荷の上面との間に昇降設備を設置し、労働者に保護帽を着用させる必要があります。
以前は5トン以上とされていましたが、令和5年10月1日に施行された法改正により、基準が変更されたため、注意が必要です。
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