「時間に余裕をもって走りたいので、早めに出庫したい」というドライバーがいます。
労働時間管理の観点から定刻に出庫してもらいたいと考えていますが、具体的にどのように対応すればよいでしょうか?
早く出庫することで長時間労働になると会社が責任を問われます。粘り強く指導しましょう。
トラックドライバーの中には、「荷卸し先に余裕をもって着きたい」、「事故や渋滞をを避けたい」といった理由で必要よりも早い時間に出庫する方がいらっしゃいます。
特に独立心の強い昔気質の乗務員に、このような方が多いようです。
しかし早く出庫すればその分拘束時間が長くなり、荷卸し先で余計な待機時間が発生することが想定されるため、管理者にとっては頭の痛い問題でしょう。
乗務員の判断で早く出庫した場合に、それによって発生する待機を休憩の扱いとしている運送会社もあります。
しかし、休憩はその時間に労働から解放されているかどうかで実質的に判断されますので、たとえ乗務員の承諾があったとしてもこのような扱いは難しいでしょう。
逆に言うと、荷下ろし先に早く着いた後に完全に労働から解放されていれば休憩と扱って問題ありません。
ただし、指示があったらトラックを動かさないといけないとか、会社から電話がかかってきたら出ないといけないといった場合は休憩とはいえません(この点が裁判でよく争いになります。)
また、常務前に点呼を行っていれば、早く出庫することについて会社の黙示の承認があったとされる可能性も高いです。
以上を踏まえると、面倒ではありますが、
①早く出庫する乗務員には理由を確認する
②業務上の必要性が乏しい理由なら、運行管理者が適切な出庫時間を指示する
③それでも指示に従わないなら書面で注意指導書を出す
④事情があって早く出庫する場合は事前に運行管理者に申請を行う仕組みを作る
という運用が望ましいと思われます。