健康診断で異常の所見が出たドライバーに対して会社はどのような対処をすべきでしょうか?
再検査を受けさせなかったことで会社が責任を問われるおそれはありますか?
再検査を受けさせずに乗務させると会社が責任を問われる可能性があります。
健康診断後の再検査は一次健康診断と異なり、必ず受けさせなければならないものではなく、受診を「勧奨」すればよいとされています。
再検査の費用を会社が負担する必要もありません。
一般の会社であれば、再検査を受けるよう口頭で伝えれば会社の義務は果たしたと言ってよいでしょう。
ところが、運送会社では健康起因事故が人命に直結するため、高い安全配慮義務が求められます。
脳・心臓疾患による大きな事故が起こり、直前の健康診断で異常の所見があったなら、会社に批判が集まることは予想されます。
貨物自動車運送事業法でも、健康起因事故の発生時、健康診断の再検査を受診させずに乗務させていた場合は初違反40車、再違反80車の行政処分が定められています。
そこで、
①再検査が必要であることは口頭ではなく書面で通知する
②再検査を受けて結果を報告するよう指示し、やむを得ない理由で再検査を受けられない場合には理由を申告させる
という運用が望ましいと思われます。
健康診断のために必要な時間は労働時間に含めなくてよいのが原則ですが、勤務時間中の受診を認めることで受診を徹底できるでしょう。